【税金】米国州政府間の競争

州政府には連邦政府には無い権限があり、それを通して企業や人を誘うことが出来る。そのうち最も分かり易いのが税金制度だ。その実例を幾つか紹介したい。


米国は連邦政府の所得税と法人税の上に州政府のそれが加算される(厳密には計算法は異なるが)。個人の視点から見ると、ニューヨークやカリフォルニア州は収入によっては10%近くも加算される反面、フロリダやネバダ、ワシントン州は税金がなんと0%だ。資産家は優先的にこのような州に移り住むことになる(実際フロリダは多くの人が引退後に移住するし、ジュピターアイランド区の家の平均価値は2億円を上回る)。ワシントン州の法人税0%はマイクロソフト社が本拠を構える大きな理由の一つとなっている。


このような直接的な税率以外にも、特定産業を優遇したり、資金援助することが可能になる。ウィスコンシン州は環境技術の会社の法人税を下げ、他にもインセンティブを与えている。デトロイトのあるミシガン州はなんと今は映画業界の会社を支援しているらしいし、テキサス州はラジオやテレビで「ビジネス・フレンドリー」な環境を宣伝している。


日本では近年、地方活性化がホットな話題になっているが、米国では州政府同士で活発な企業獲得のための競争が行われている。州政府、住人、そして企業自体も利益を得られる構造になっている。起業や人がわざわざ東京圏を離れたくなるようなインセンティブを提供できるようになれば、自然と現状は変わってくるかもしれない。